Rockスタイルのピッキング! スナップ編

Rockスタイルのピッキングは、弦をはじき飛ばす事です。

その為には、スナップを効かせて弦をはじき飛ばす事が肝心です。
と言うか、はじき飛ばすためにスナップを効かせる事になります。

これは、成毛 滋氏がラジオのギター講座でも
「ロックギターでは、ピックで弦をはじき飛ばさないといけない。」とおっしゃっていたことです。

繰り返しますが、はじき飛ばすためにスナップを効かせるわけです。
つまり、Rockスタイルのピッキングは、スナップを効かせて
弦をはじき飛ばすようにしないと速弾きをしても抜ける音にはなりません。

ピックで弦をはじくだけでは、抜ける音にはなりません。
また、勢いを付けての力まかせでもいけません。
スナップを効かせて、弦をはじき飛ばせないといけません。


やわらかいピックでは、アタックの瞬間、ピックがしなってしまうので、
逆にスナップを効かせて弦をはじき飛ばす事が難しくなります。
しなりがある分、ピックは引っ掛かりませんが、音ぬけは悪くなります。
これは、ソロの場合だけでなく、コードストロークでも同様です。

また、硬いピックだと初心者は、ピックが弦の抵抗に負けて引っ掛かったりします。
つまり、ピッキングの動作や力がまだ十分で無く、しっかりとスナップを効かせられなくて、
弦をはじき飛ばすことが出来ていないので、引っ掛かると云うことになります。

ですから、はじめは、ミディアム程度の硬さから始めると良いです。
成毛さんも、ピックはあまりやわらかいものは使わずに、ミディアム程度からと、はっきり仰っていましたね。


では、スナップとは何でしょう。
一般的には「手首の力をきかせること」と認識されているようですが、辞書をみると、
スナップ【snap】
〈小枝などを〉ポキンと折る  …をパチン[ピシッ, カチッ]と鳴らす


Yahoo!辞書【snap】 図解あり


これだけでは、分かりずらいです。スナップ自体を正確にイメージできません。
日本語に対応する言葉が見つかりません。
もし、あるとしたら、ポキン、パチンという擬音です。
ここ、大事ですから繰り返しますが、ポキン、パチンという「擬音」なんです。

つまり、スナップとは動作(行為)の事ではなく、その現象を云うのではありませんか?
要するに、喩えて云えば小枝を折る動作がスナップではなく、
ポキンと折れる現象、そのポキンがスナップです。

だから、その現象を表す言葉としてポキン、パチンという擬音になる訳です。

ですから、皆さんが今まで常識的にイメージしているスナップ
(手首をブラブラにして水を切るような動作やムチのようにピシッと振る動作)とは、
意味が当然違ってくるわけです。(常識的イメージと云っても、人それぞれ意外と曖昧なのでしょうが・・・。)


例えば、10kgの荷重で折れる小枝があって、両手でゆっくり曲げていきます。
手には、小枝が元に戻ろうとしての荷重が伝わってきます。(ここが大事。)
さらに力を加えれば、10kgをわずかに超えた所で小枝は、折れます。
この、10kgをわずかに超えた所で小枝が折れる現象が、スナップと云うことです。

逆に、10kgの荷重で折れる小枝に30kgの荷重を掛ければ小枝は一気に折れますが
これでは、スナップとは言えません。力まかせに小枝を折っただけです。
小枝を折る動作は同じに見えても、全く別なんです。
ですから、スナップさせる為には必要以上の力はいらないんです。(余計な力はいらない。)
つまり、逆に力が入り過ぎてはスナップできない訳です。(スナップにならない)

ピッキングに於いても、手首の全体の動き(手首の振り)がスナップと考える人もいるようですが
実は、スナップとは動作(行為)の事ではなく(動きそのものではなく)
パチンと弦をはじくその現象(状態)を云う訳です。

日本のプロのギタリストでも、ほとんど理解されていないのではありませんか?
当然動きは必要ですが、結局、動作の見た目が同じでも
スナップという現象がないと駄目なんです。

逆を云えば、「ピッキングにスナップという現象さえあれば、」腕の動きでも、
手首の動きでも、指の屈伸でも、動作に関しては問わないという事になります。
だから、ピッキングの動作(スタイル・フォーム・ピックの持ち方も)は、各人それぞれである。と云うことなのです。

言い換えれば、ピッキングにおいて、弦をパチンとはじき飛ばす動作は、
各人それぞれのスタイル・フォームになる。と云うことです。
ですが、肝心なことは、たとえ見た目の動作は違っても
スナップ自体(パチンの現象)は同じであると云うことを忘れてはいけません。

しかしながら、腕振り動作でパチンと弦を弾き飛ばすことは、実に難しいものです。
欧米人ギタリストを見ても分かるように、「手首」を使って弦をはじき飛ばすことのほうが普通に自然なのです!


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Rockスタイルのピッキングにおいて、「スナップ」 と云う言葉の本質的な意味は、
手首の振りや動きでは無く、「パチン」とはじき飛ばす「現象そのもの」 のことを云うのです。

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スナップさせる為には必要以上の力はいらない。
それならば、ピッキングにおいて、必要な力とは?


スナップを効かせて弦をはじき飛ばすには、その瞬間、弦の張りをピックが感じる事が大事になります。
(これは、ピックが感じると言うか、ピックを持つ指先と言うか、手首が感じると言うか、、、。)
これは、小枝を折ろうとする時、手に小枝が元に戻ろうとしての荷重が伝わってくる感じですね。
弦は、小枝じゃないので折れることはありませんが、
弦の張りを感じながらその張りに合った力で弦をはじき飛ばす。

つまり必要な力とは、
弦をはじく瞬間、ピックに掛かるその弦のテンションに合っただけの力。
要するに「弦の張りをわずかに超える力」で良いと云う事だと考えます。

つまりそれが、「パチン」になるわけです!これは、ピッキングにおける「スナップの原理」とも云えます。


手首にちからが入り過ぎると、スナップ(パチン)にならないですし、(ゴリゴリと力まかせな弾き方になる)
弦の張りをピックが感じる事も出来ません。ですから、まずは肩や腕や手首までも余計な力を抜いて
しかも、手首はブリッジに置かず、必ず浮かせてピッキングの練習をするのです。
そうする事によって、弦の張りをピックが感じ、弦のテンションに合っただけの力で、パチンと
ピッキングできるようになるんです。つまりスナップになると云う事です。
これは、ダウンピックも、アップピックもです。


手首を浮かせてピッキングの練習をすると、はじめはピッキングはぐだぐだになるでしょう。
手首の位置も定まらず違う弦を弾いたり、弱すぎてピックが弦に引っかかったり、
強すぎて弦が強震して ビッたりして音色もきたなくなりますね。
でも焦らずにゆっくりひとつひとつの音をピッキングして下さい。「継続は力なり」です。

ピックが弦に当たった瞬間と云うか、ピックを弦に当てた瞬間のアタックで弦の張りを感じるんです。
この時ピックが、弦に対して深く当たっても気にしないで下さい。
大事な事は、そのピックが動かずに(こすらない)ようにする事です。(ピックが弦をピタッと受け止めること。)
そして、しっかりと弦の張りを感じて、そこから「パチン」と弦をはじき飛ばすんです。

ポールギルバートのピッキングをみると、弦をプッシュするようなピックの動きがみられます。
この弦をプッシュするようなピックの動きが、弦をしっかり受け止めると同時に弦の張りをピックが感じ、
そこから弦のテンションに合っただけの力で、
実に見事にパチンとスナップしているんです。まさに天下一品です。


また、ショートスケールのギターはロングスケールのギターより弦のテンションが弱い分、
手首の力をもっと抜いて、よりしなやかにして
弱いテンションに合わせて パチン と弾かないといけません。
ですからピッキングはロングスケールよりずっと難しくなります。スナップの点で。

そして弦の張りをピックが感じるようになると、
ピッキングした瞬間のニュアンスも分かるようになります。
そうなって初めて、強いピッキング、弱いピッキングと強弱のコントロールが出来るようになります。
しかもピックがある程度以上削れると、ピッキングのアタックの感触が変わってきます。
これ、はっきりと判るんです。そうなったら、そのピックはお終いです。
とは云っても、なんだかもったいない感じで、
わたしはカーペットにこすり付けて、エッジをフレッシュにして練習では2、3日は使いますけどね。

(弦もそうですが、ピックも消耗品ですから、一枚のピックを後生大事に何ヶ月も使うものではありません。)


リズムギターの場合でも、例えば6本の弦をダウンストローク、またはアップストロークする場合に
その6本の弦全体のテンションを感じるようにすると云うことですね。
そして、弦全体のテンションを感じてのスナップのピッキング、つまりパチンと、はじき飛ばす訳です。
どうしても、力任せにゴリゴリとストロークする人もいますが、腕や手首のちからを抜いていないと
スナップのピッキングにはなりません。勿論ちからを抜くと云っても、抜き過ぎるとストロークでも
ピックが引っかかるでしょうし、やはり、はじく瞬間、弦のテンションに合っただけの力は必要です。


リズムギターでも手首の動きをシャープにして勢いでもって、
一見するとスナップしているような動きに見えても、
手首の動きはいいんだけど(手首を使っているとは云っても)
やっぱりスナップが効いているとは云い難いギタリストも大勢います。
たとえば、やわらかすぎるピックでのペチペチしなりピッキングとか、
硬いピックでも指の中でグラグラさせての弦負けピッキング。
他にはピックが各弦、一番線側に寝すぎていての三味線型ピッキングや
それらの複合ピッキングなど・・・。


ピッキングは、手首の動きを真似しているだけでは、それだけでは、なかなか上達しません。
外人のピッキングに迫るには、スナップ自体(その本質)を理解しないといけないと思います。


これらの事を考えれば、
当時、成毛 滋氏がスナップを使えるロックギタリストは日本では数えるほどしかいない。
と仰っていたのも、十分理解できると思います。






-------------ここで補足を致します-------------

ピッキングに於けるスナップは、いかなる場合も、見た目の動作やピックのアングルが
違っていてもスナップと云う現象自体はどれもすべて同じになります。
これは、瞬間瞬間パチンと弦をはじき飛ばすことですから、そうなりますね。

世界のトップギタリスト達のピッキングに於けるアタック音がみんな同じように
聞こえると云うのはスナップしているからです。


しかし、外国のギタリストのようなスナップは実際なかなか出来ません。
スナップの本質が分からない人は、無論出来る筈はありませんが、
スナップの本質を理解していてもそうなのです。

それはピッキングの動作が未熟なため「スナップという現象」が無いと云うのが現状でしょうか。
動作が未熟というのは、二つ考えられます。

まず動作が足りないのでパチンと弦をはじき飛ばせない、
その動作のはじきが弱いのでスナップとは云えません。
ブリッジに手首を固定していると動作が制限されるので、そう成り易いですね。

もうひとつは、無理なちからを入れすぎて動作がオーバーでスナップにならない、
これは強すぎてスナップにならないと云うか出来ません。
手首が硬くなっているとコントロールもままならずこうなりますでしょうか。


動作に於いては、次の「動作編」をお読み下さる事として、、、。


ですから、弱い(軽い)ピッキング、強いピッキングはあっても
弱いスナップ、強いスナップと云うのはありません。一見するとあるように思えますが
そうではないことをよく理解して、そしてこれらを良く考えて
スナップをイメージして下さい。正確なイメージは技術向上の第一歩です。


------------補足終わり-----------



-------------- 2009年3月14日 (加筆) ・ 2009年10月3日(補足)--------------

ロックでは、ピックで弦を「パチン」とはじき飛ばすピッキングでないと抜ける音にはなりません。
つまり、ちゃんとした音色にはならないと云うことです!
即ち、「パチン」ですから、英語で云えば「スナップ」と云うことになるのです。ここが重要です!

ちなみに英語の「snap」は、ドイツ語では「schnapp. 動詞になるとschnappen.」。
これは「擬音語」と解釈されています。
「学習院大学 岡本順治研究室 ドイツ語あれこれ」
http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~20050003/e-deutsch/schnappi.html

ですから、動作編に書いた通り欧米人には、snap と云う言葉には、
動作と共にバックグラウンド・イメージとして「パチン」があるわけです。

ですが、欧米人ギタリストのピッキングには、手首を使って無意識と云うか自然と
「パチン」がその動作に含まれているので、ことさら、「スナップ」などとは、表現しないと考えます。


イギリスやアメリカで勉強してきた成毛さんにしてみれば、当時の日本人ギタリストの多くは、
腕振り動作で「パチン」もなかったので、ピッキングは「手首のスナップ」だ。と力説してきた訳です。



スナップとは、「パチン」ですから、ピックが、弦に負けるようなピッキングでは、駄目と云うことです。
ピックは、弦に負けずに、はじき飛ばすのです。それが、Rockスタイルのピッキングです。


ところが、多くの日本人は、欧米人のように手首が上手に使えないので、
スナップと云われても、なかなか、はじき飛ばすピッキングが出来ません。
ましてや「手首のスナップ」の意味を、ただ手首を素早く振ることだ。と解釈しただけでは、うまくいきません。


パチンと弦をはじき飛ばすのでは無く、
弦に負けるようにピッキングしなさいと云う教則本は、まさに日本人的発想です。
当然、スナップの本質も理解していません。教則本と云えど注意が必要です。

また、肩や腕や手首までも「余計な力を抜くこと」は、イコール「脱力」ではありません。
「脱力」と云う表現では、間違ったイメージを持ってしまいます。これも注意が必要です!

正しいイメージは「必要な力を使う!そのために余計な力は抜くんだ。」と云うことなのです。
「必要な力」と云うのは、すでに説明してありますね。

最初は、力が入って構いません。
そこから必要な力とは、そして余計な力とは何かを考えて、ピッキングの工夫をしていくのです。

脱力などと云うと、力を抜くことしか頭に無くて、弦をはじき飛ばすこと、つまりスナップに注意がいかなくなります。

外国のトップギタリストが速弾きを、あたかも力を入れずに軽く弾いているように見えるのは、
ピッキング動作に、余裕と云うか「余力」があるからです。脱力しているわけではありません。
手首の柔らかさ、その筋力の強さ、運動能力(手首の使い方)等が、ワタシ達とは数段上だからです。
ですから動作が軽く見えるのです。見た目軽く見えるから「脱力」していると判断するのは見当違いです。

ですから、決して「脱力」と云う言葉に惑わされてはいけません。

しかも「脱力」と云う言葉は、教える側にとっては、とても便利な魔法(インチキ)の言葉なのです。
  うまく弾けない生徒に、「脱力」して弾きなさい。と云えば、生徒も分かったような、分からないような・・・。
どう脱力するのか、何が脱力なのか、どこまで脱力すれば良いのか、教える側は、細かい説明の必要はいりません。
なにしろ「脱力」と云ってしまえば、それで済んでしまうからです。
出来ない(分からない)のは、君が悪い!!となってしまいます。

もし、ギターの教則本に「脱力」などと書いてあったら、教則本としては「見当違いの間違い」です。
成毛さんのビデオでも、余計な力を抜くようにと仰っていますが、決して脱力せよ。とは言っておりません。
余計な力を抜くと云うのは、つまり必要な力はそのままで、それ以上の力は排除すると云う意味です。

ですから本来、教則に「脱力」という言葉を使う方がおかしいのです。と云うか、使うものではありません。

ピッキングに関しての教則本なら、少なくとも脱力では無く、逆に「必要な力」を教えるべきなのです!!


---------------- (加筆・終わり)-----------------




続いて、Rockスタイルのピッキング!「 動作編」、「訓練編・総論」、「訓練編・実践」をご覧下さい!


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